ほぐれていないのにスッキリ感を感じる理由|強圧が癖になる神経の仕組み

2025.10.23


同じ施術でも、感じ方が違うのはなぜ?

施術をしていると、同じようにほぐしても
「めっちゃスッキリ!」という人もいれば、
「うーん…なんかスッキリしない」という人もいます。

筋肉の硬さや緩みは確かに違いを生みますが、
それ以上に大きく影響しているのは “神経の反応”

実は「ほぐれた=スッキリ」ではなく、
神経が”どう感じた”かが身体の満足感を左右しているのです。

そして強い刺激を繰り返すうちに、
「強くないと効かない」「もっと押してほしい」と感じてしまうことも。
この“強圧中毒”には、ちゃんとした科学的な理由があります。
 

ほぐれたのにスッキリしないのは、神経がまだ戦っているから

「ほぐれる」というのは、筋肉が物理的に緩むこと。
でも「楽になる」というのは、神経が“安心した”と感じること。

どんなに丁寧に筋肉を緩めても、
神経がまだ「危険」や「防御」のモードにあると、脳はリラックスを許可してくれません。

「緩んだ感覚」は筋肉ではなく“脳の知覚”
筋肉の状態をモニタリングしているのは、末梢神経(筋紡錘やゴルジ腱器官)だけど、
「緩んだ」「軽くなった」と感じるのは脳の体性感覚野や、感情と身体感覚を統合する“島皮質”の仕事です。

つまり、筋肉がどれだけ解れていても、
脳が「まだ危険だ」「まだ休んではいけない」と錯覚している限り、
“緩んだ感覚”は再現されません。

「ほぐれたのにスッキリしない」と感じるのは、
身体の問題ではなく、神経がまだ緊張を手放していない状態なのです。

身体がどれだけ整っていても、
脳が「まだ安心してはいけない」と判断している限り、
本当のリラックスは訪れません。

では、なぜ脳は“緩み”を自覚できないのでしょうか?
次はその背景にある、神経と圧の感じ方の関係をお話ししていきます。
 

脳が“緩み”を自覚できない理由

人は「痛い」と「気持ちいい」を感じるとき、
実は**同じ神経ルート(Aδ線維とC線維)**を使っています。

強い圧で感じる“痛気持ちいい”という感覚は、
痛み信号が**脳内の快感物質(エンドルフィンやセロトニン)**を誘発して、
痛みそのものを“心地よい刺激”として認識している状態。

けれどこの反応が繰り返されると、
脳は「強い刺激=気持ちいい」と学習してしまうのです。
すると、穏やかな圧では“反応が足りない”と錯覚し、
緩んでいても“まだ物足りない”と感じてしまう。

つまり、“ほぐれた気がしない”“もっと強く押してほしい”という感覚は、
筋肉ではなく脳の報酬系(快感を得るための神経回路)が求めているもの。
身体の緊張が解けても、脳が緩みを許可していない状態なのです。
 
 

脳が“緩み”を自覚できないもう一つの理由

もう一つの理由は、
「刺激がなければ緩まない」という**思い込み(身体感覚の固定概念)**にあります。

神経がリラックスして筋肉がゆるんでいても、
その変化を視覚的にも感覚的にも確認できないと、
脳は「まだ何も起きていない」と判断してしまう。

つまり、身体はすでにゆるんでいるのに、
“ゆるんだという感覚”を認知できない状態。

その結果、
・「揉まれた」「押された」という刺激の記憶を求める
・「やってもらった感」がないと満足感を得にくい
・可動域は広がっても「スッキリした!」とは感じにくい

このように、筋肉の変化と脳の実感がズレてしまうんです。

体が楽になるかどうかは、筋肉の状態だけではなく“脳の思い込み”にも左右されます。
たとえば催眠術や波動のように、
「脳がどう受け取ったか」によって、身体の反応はまるで変わってしまう。

つまり、癒しとは“技術の結果”だけではなくではなく、身体と脳の両方が「もう大丈夫」と感じられること。
そこに本当の回復が生まれるのです。

つまり、
「強い刺激=安心」「弱い刺激=物足りない」という
“脳の思い込み”が、緩みの自覚を奪ってしまうんです。
 

強圧のリスクは“怪我”だけじゃない

強い圧を加えると、筋肉は“防衛反応”を起こします。
これは「これ以上伸ばされたくない」という身体の自然な防御反応。
無理に押し込むほど、筋肉は縮もうとして、かえって硬くなるのです。

でも──それは“強圧が悪い”という意味ではありません。
問題は「圧の強さ」ではなく、「圧の質」。

 
 
🌿 防衛反応を起こさない“圧の質”とは?

筋肉や神経は、「安全」だと感じたときにしか、ゆるまない。
だから必要なのは“強さ”ではなく、
脳に『いま、ここがこっている』と気づいてもらい、
自ら緊張をほどくように指示してもらうこと。

 
☆ポイントは3つ
1. 速度の工夫(F分の1ゆらぎ)
2. 呼吸と共鳴していること(呼吸が圧を誘導する)
3. 触れる目的が「押しつぶす」ではなく「解く」であること
 
 
そして──その“コリ”に触れることは、力がいるものではありません。
わずかな力でも、コリに正確に触れることはでき、
触れた瞬間、触れられたことを鋭い刺激として脳に伝えられます。

まるで、威嚇する犬が唸りながら身を固めているところに
無理に触れようとすれば吠え出すように──。
どう宥め、落ち着かせ、信頼を築いていくか。
そこからが、セラピストの“技術”であり、神経との“寄り添い方”なのです。

 

セラピストの手が“危険”ではなく“安全”だと神経が判断した瞬間、
筋肉は防御をやめて、内側からやわらかくほどけていきます。

圧の強さではなく、「伝わり方」が変わる。
これが、防衛反応を起こさずに深層まで届く方法なのです。
 
 
 
💤 神経の緊張や、脳の認識は意識とはまったく別物。

安心しきってリラックスしている動物や子どもの寝姿を想像してみてください。
ぐでんぐでんになるほど、全ての関節が脱力している愛らしい寝相が思い浮かびます。

では──大人はどうでしょう?
ぐでんぐでんの寝姿。最後にそんな姿で眠ったのはいつでしょうか。

私たちは、無意識のうちに「緊張していないつもり」で眠っています。
でも、神経はまだ“何かに耐えている”のです。
安心しきっているつもりでも、寝ずに働いている。

癒しとは、筋肉をゆるめることでも、心を無理に落ち着かせることでもなく、
神経が“いまは安心していい”と納得すること。
 
 
 
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